グラインダーマン『MUSTANG the ONE』

ようやく余裕が出てきたので、本番を見せてもらう。
案内人つきの観客移動型パフォーマンスを見るのはイギリス留学した時以来で、かなりわくわくする。
田口さん自身の観客への諸注意から、そのままパフォーマンスへフェードインしていく手法はなかなかに見事。するすると意識しないうちにグラインダーマンの世界に引き込まれていく。
そのまま移動するように促され、奥のエリアへ。この移動する時の感覚はイギリスで観客移動型野外劇を見た時の、自分自身が単なる鑑賞者ではなく、体験しているという実感を伴った楽しい感覚だ。
劇場でのイスに座っての観劇や美術館での作品鑑賞のように、一方的な受け取り方の「ゲイジュツ鑑賞」に慣れ、双方向にコミュニケーションする事に不慣れな日本人には最初は落ち着かないかもしれない。しかしどういう楽しみ方をすればいいのかがわかれば、とてもいい時間が過ごせるに違いない。
そんな事をぼんやりと考えた作品だった。