生活の、匂い

AIR大阪に帰ると、キッチンから納豆の匂いが流れ出てくる。
ふと覗いて見ると、ピアニストのまり子さんがご飯を作り終えたところだった。
「納豆のみそ汁にしてみました」と彼女は言う。
部屋に戻って行く彼女を見送って、僕はキッチンでお湯を沸かしてから2階の部屋に上がった。
僕の部屋は彼女の部屋の隣なのだが、僕の部屋の扉の前まで納豆の匂いがあふれ出ていて、納豆の苦手な僕は思わず苦笑する。
「この匂いがナットウキナーゼなのかなぁ」と埒もない事を考えながら、僕は部屋の扉を開けて、閉めた。
パタン。