古典と前衛

地点によるチェーホフ四大戯曲連続上演『桜の園』を見にアトリエ劇研に行く。
完全に観客としてお芝居を見に行くこと自体がかなり久しぶりで、開場前に前で待っている時からわくわくしてしまう。
顔なじみの劇研スタッフに見つかり「重田さんが劇研にいる光景が新鮮!」と言われる。昔はここで照明オペなんかもやってたんだけどなあ・・・と遠い過去を思い出す。そういえば、よくここに来てたのは20歳前後の時だから、もう7、8年くらい前になるのか。

開演の10分前に開場し、中に入るとすでに役者が舞台に配置されており、静謐な空気の中客席に着く。この濃密な空気はやはり小劇場でしか出せない。
内容はまだ公演中なので詳しくは書けないが、そもそも詳しく語れない性質の作品であった。テキストの解体と再構成、演出の手法など技巧的な事、細かい事を全く考えさせないという事は、すなわち圧倒的に完成された作品であると僕は考える。
その作品が好きか、嫌いかという個人的な嗜好は確かにあるにせよ、圧倒的な作品というのは本物である。たとえ一観客が好きだろうが嫌いだろうが、本物は本物として存在しえる。

久々に本物を見たという事がなんだかとてもうれしくて、帰り道の風景も違って見えた。

地点 CHITEN