Flying Elephant Company(飛象社)

11月にやるマクベスの舞台ミーティング。今日も昨日よりは少ないものの打ち合わせ地獄だったので、上げるはずの舞台プランは平面図のみが精一杯。
今回は西部講堂をいっぱいに使った舞台。シェイクスピアは舞台を志す者なら一度は挑戦しておきたい作品ではある。それに立ち向かうにあたって、まずはスタンダードで突き詰めるのか、アイデアで勝負するのかという選択があった。
イデア勝負したマクベスでは、舞台が全て一軒の家の中というものがあった。魔女たちがいるのは大釜のある台所。貴族たちが集まるのはリビング。マクベスと婦人が話し込むのは二人の寝室、といった感じだ。こういうのを考えるのは確かに面白い。野田秀樹なんかが得意とする手法だ。他にも黒澤明が舞台を日本の戦国時代にアレンジした蜘蛛巣城 [DVD]など。
対してスタンダードは(実はしっかりと見たことが無いので間違ってるかもしれないが)出口典雄や蜷川幸雄などがそうなのかと思う。まあ蜷川幸雄は舞台を仏壇にしたり、いわゆるスタンダードとは違うのかもしれないが・・・。

今回、事前に何度か演出の小早川と話していて「脚本はいじらない」という方針が明らかになっていったので、舞台も捻った解釈はせずにスタンダードで考えて、脚本からどんな場所を連想するのかを主眼において考えることにした。

まず、脚本を読んだ際には広大な荒野のイメージが広がる。僕は大学時代にイギリスに1月ばかりホームステイしていたので、その時にいろいろな場所を見て回る機会があったのだが、あの荒野というものは、日本には無いイメージだ。おそらく、起伏に激しい山中の鬱蒼とした森などのイメージ(遠野物語のような)が日本独自のものだとして、年中天気の悪い、ヒースの茂る地平線まで見渡せる何も無い荒野は、イギリス独自のものなのだろうと思う。
今回の舞台はいかにしてその広大さ、孤独感、寒さを表現できるかが、鍵となるだろう。そのため、自然物以外の色はモノトーンで行きたいと思っている。住居は石造りであるし、先の見通せなさを表現するには遠くに行くにつれて漆黒の闇にフェードインしていく感じにしたい。
ともあれ、西部講堂という広くて自由に使える会場を生かした、大劇場でも小劇場でもできない、広大でかつ観客を世界が飲み込むような舞台に仕上げたいものだ。